足のむくみは病気のサイン?循環器内科医が原因を解説
「夕方になると足がパンパンに腫れる」「靴下の跡がなかなか消えない」
このような症状は下肢浮腫(かしふしゅ)、いわゆる足のむくみと呼ばれます。多くの方が経験する身近な症状ですが、心臓や血管の病気が隠れていることもあります。ここでは循環器内科の立場から、足のむくみの原因や見分け方、当院での検査の進め方について解説します。
目次
そのむくみ、両足ですか?片足ですか?
むくみは、両足に出ているか、片足だけに出ているかによって、考えられる原因が異なります。
両足が一日中、あるいは朝起きた時からむくんでいて、体重増加を伴う場合は、内科的な病気が関係していることが多いとされています。一方、片足だけがむくんでいる場合は、その足の血行障害やリンパの流れの障害が疑われます。
片足のむくみで特に注意したいサイン
片足だけに、次のような症状がある場合は注意が必要です。
- 急な腫れ
- 痛みや熱っぽさ
- 左右差がはっきりしている
このような症状がある場合は、足の血管に血のかたまり(血栓)が詰まる「深部静脈血栓症」の可能性があります。長時間座ったままの移動や手術後などに起こりやすいとされています。自己判断で様子を見ず、早めに医療機関を受診してください。
なお、朝起きるとすっきりしているようなむくみは、健康な方にも起こりうるもので、慌てる必要はありません。
心臓の働きの低下とむくみの関係
心臓は、血液を全身に送り出すポンプのような役割を担っています。このポンプ機能が低下すると、心臓へ戻ってくる血液の流れ(静脈還流)が悪くなり、血管の中で血液の流れが渋滞を起こしたような状態(うっ血)になります。
血液の流れが滞ると、静脈の圧が高まり、血管の外に水分がにじみ出すことで、足などの組織がむくんでしまいます。
心不全によるむくみには、次のような特徴があります。
- 両足に同じようにむくみが出る
- 夕方から夜にかけて悪化しやすい
- 体重が増えやすい
- 息切れや疲れやすさを伴うことがある
高血圧や心臓の病気を指摘されたことがある方は、特に注意が必要です。
腎臓・肝臓の働きとむくみの関係
むくみの原因は心臓だけとは限りません。腎臓や肝臓の働きが低下する(腎不全・肝不全)と、体の中の水分量をうまく調整できなくなったり、血液中のたんぱく質が失われたりすることがあります。これらも血管から水分が漏れ出す原因となり、むくみにつながることがあります。腎臓や肝臓の状態は血液検査などで確認できますので、むくみが続く場合は医療機関での検査をご検討ください。
薬の影響で起こるむくみもあります
意外と知られていませんが、普段服用しているお薬が原因でむくみが生じることがあります(薬剤性浮腫)。特に、血圧を下げるお薬の一種であるカルシウム拮抗薬は、足の血管を広げる作用があるため、むくみが出やすいことが知られています。
お薬によるむくみが疑われる場合でも、自己判断で服薬を中止せず、医師にご相談のうえでお薬の調整を検討してもらうことが大切です。
「病気によるむくみ」と「生理的なむくみ」
むくみへの対応で大切なのは、それが病気によるものなのか、それとも心配のいらない範囲(生理的なもの)なのかを見極めることです。むくんでいるからといって、すぐに利尿薬を使うことがよいとは限りません。利尿薬は使い方によっては腎臓の働きに負担をかけたり、体内の電解質のバランスを崩したりすることがあります。当院では、むくみの原因となっている病気を見極めたうえで、その治療の一環として必要と判断した場合に利尿薬を用いるよう心がけています。
長時間の立ち仕事やデスクワーク、塩分の多い食事、運動不足などでも、一時的に足がむくむことがあります。このような生理的な範囲内のむくみであれば、次のようなケアが有効とされています。
- 弾性ストッキングを着用する
- 寝るときや休憩時に足を高くする
- 足を軽くマッサージする
- ふくらはぎの筋肉を使う運動(筋ポンプ運動)を行う
当院での検査の進め方
当院では、まず心臓・腎臓・肝臓などの内臓の働きに問題がないかを調べます。具体的には、次のような検査を行います。
- 心電図
- レントゲン検査
- 心臓超音波検査(心エコー)
- 血液検査(腎機能や肝機能、甲状腺機能やBNP)
- 尿検査(たんぱく尿の有無などを確認)
これらの検査で内臓に大きな異常が見つからない場合は、生理的なむくみである可能性が高いと考えられます。
次のような場合は、当院へのご相談をご検討ください。
- 足のむくみが数日以上続く
- 以前よりむくみが強くなってきた
- 息切れを伴う
- 急に体重が増えた
- 片足だけが腫れている
足のむくみは身近な症状ですが、心臓や血管からの大切なサインであることも少なくありません。「年のせい」「疲れのせい」と思い込まず、気になる症状がある方はお気軽に当院までご相談ください。
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