心療内科

忙しくても6時間睡眠を|精神科専門医が伝える眠りの大切さ

「仕事が忙しくて、つい睡眠時間を削ってしまう」——そんな方に読んでいただきたいコラムです。睡眠が心と身体にどれほど影響するか、そして睡眠時間を削ることのリスクについてお伝えします。

眠っている間、脳と身体では何が起きているか

眠っている間、私たちの脳と身体では、実はとても活発な「メンテナンス」が行われています。

日中の活動で疲れた身体の機能が回復し、その日に入ってきたたくさんの情報が整理され、必要なものと不要なものに取捨選択されます。同時に、その日感じた感情の処理も活発に行われています。

よく眠った翌朝に気分がすっきりするのは、こうした働きのおかげです。睡眠の質は、脳・身体・心のすべてに深く関わっているのです。

睡眠不足がもたらすもの

睡眠不足は、単に「眠い」というだけでは終わりません。

気分が落ち込みやすくなったり、疲労感が強く残ったりすることは、多くの方が実感として感じているのではないでしょうか。それだけでなく、睡眠不足は、気分の落ち込みなどの心の不調に加えて、肥満や糖尿病といった生活習慣病の危険因子でもあることが、近年の研究で明らかになってきています。

日本人の睡眠時間、世界でも短い方です

日本人の睡眠時間は、世界的に見ても短い部類に入るといわれています。そして、睡眠に何らかの問題を感じている方は、どの年代でも一定数いらっしゃいます。

背景には、夜でも明るい照明環境や、夜勤・シフト勤務といった働き方の影響もありますが、それだけでなく「睡眠を後回しにしてもよい」という風潮も、少なからず関係しているように感じます。

睡眠についてより詳しく知りたい方は、厚生労働省が公表している「健康づくりのための睡眠ガイド2023」もご参考になります。

「眠れない」のではなく「眠らない」患者さん

当院の心療内科には、気分の落ち込みやいらいら、強い疲労感を訴えて来院される方が多くいらっしゃいます。特に若い患者さんの中には、睡眠時間が「3〜4時間」という方も珍しくありません。

お話を伺うと、それは「眠れない」のではなく、「眠らない」ケースがほとんどです。仕事が忙しい、家事に手間取る——理由はさまざまですが、「きちんと眠れていれば、ここまで体調を崩さずに済んだのではないか」と感じる場面が、たびたびあります。

よい睡眠のためにできること

よい睡眠のためには、生活リズムにメリハリをつけることが大切です。

日中は、脳だけでなく身体もしっかり使い、覚醒度を高めておくこと。そして夕方以降は、照明を落とすなどして、少しずつリラックス・休息モードへ切り替えていくこと。この2つを意識するだけでも、睡眠の質は変わってきます。

まとめ

睡眠は、削ってよいものではなく、心と身体を守るための土台です。忙しい毎日の中でも、まずは睡眠時間を意識することから始めてみませんか。気になる症状がある場合は、自己判断せず、一度当院にご相談ください。

監修医 足達 淑子(副院長) 医学博士・精神保健指定医・精神科専門医 あだち循環器科内科クリニック(福岡県筑後市)
医師プロフィール