皮膚科

子どもの夏の皮膚トラブル|あせもからとびひへの注意点

夏は汗をかく機会が増え、あせもができやすい季節です。たかがあせもと思われがちですが、掻きむしることで「とびひ」に進行してしまうこともあります。この記事では、あせもの特徴から、とびひへの進行の仕組み、ご家庭での正しいケア、受診の目安まで、順を追ってご説明します。

あせも(汗疹)の正体

あせもは、汗の通り道が詰まり、汗が皮膚の中に漏れ出すことで炎症を起こした状態です。首やわきの下、肘や膝の裏、背中、おむつまわりなど、汗がたまりやすく蒸れやすい部位にできやすいのが特徴です。

あせもには、主に2つのタイプがあります。

  • 水晶様汗疹:皮膚のごく浅い部分で汗の通り道が詰まるタイプ。透明で小さな水ぶくれができますが、かゆみや赤みはほとんどなく、自然に治っていくことが多いタイプです。
  • 紅色汗疹:水晶様汗疹よりもやや深い部分で詰まるタイプ。赤い小さなブツブツができ、強いかゆみやチクチクした刺激感を伴います。一般的に「あせも」としてイメージされるのは、こちらのタイプです。

かゆみの強い紅色汗疹は、掻き壊してしまうことで次に述べる「とびひ」につながりやすいため、特に注意が必要です。

ご家庭では、次のような対策が効果的です。

  • 汗をかいたらシャワーで流す
  • エアコンで室温26〜28度、湿度50〜60%を目安に保つ
  • 通気性の良い綿素材の衣類を選ぶ
  • 入浴後はしっかり保湿する

あせもからとびひへ、「連鎖」のメカニズム

あせも、特にかゆみの強い紅色汗疹ができると、掻きむしってしまうことがあります。掻くことで皮膚のバリア機能が壊れて傷ができ、そこに細菌が入り込むことで「とびひ」に進行してしまいます。

とびひの原因菌は、主に黄色ブドウ球菌や溶血性レンサ球菌(溶連菌)です。これらはもともと健康な人の皮膚や鼻の中などにいる「常在菌」ですが、あせもの掻き傷など小さな傷口から入り込むと、とびひを引き起こします。

あせもの段階でいかにかゆみを抑え、掻き壊しを防ぐかが、とびひを防ぐ大きなポイントです。

とびひのサイン — これが出たら要注意

とびひには、大きく分けて2つのタイプがあります。

水疱性膿痂疹(水ぶくれタイプ)

  • 原因菌:黄色ブドウ球菌
  • 症状:水ぶくれがどんどん増えていく/患部がじくじくする/掻くことで皮疹が広がっていく/夏場に乳幼児・小児に多い
  • 治療:抗菌薬の塗り薬や飲み薬による治療が行われます

痂皮性膿痂疹(かさぶたタイプ)

  • 原因菌:溶血性レンサ球菌(溶連菌)
  • 症状:黄色い厚いかさぶたができる/季節や年齢を問わず発症し、大人にもみられる
  • 治療:抗菌薬の飲み薬が中心となります

いずれのタイプも、以下のような特徴があります。

  • 兄弟姉妹などにもうつる
  • 早めのケアが症状の広がりを防ぐポイントになる

やってよいこと・避けたいこと

やってよいこと

  • シャワーで患部を清潔に保つ
  • 爪は短く丸く切っておく
  • 鼻の穴を指でほじらないよう指導
  • 患部をガーゼで覆う
  • タオルや衣類は共有しない
  • かゆみが強いときは、保冷剤をタオルで包んで冷やす
  • 入浴は、患者さんご本人が家族の最後に入る

避けたいこと

  • 掻く、水ぶくれをつぶす
  • 市販薬を漫然と塗り続ける
  • じくじくした部分を放置する
  • タオルを共有する

登園・登校・プールの目安

あせもの場合、プールや登園・登校の制限はありません。

とびひの場合は、治るまでプールは控えていただく必要があります。登園・登校については、患部を処置してガーゼで覆っていれば可能なことが多いですが、園や学校、地域によって方針が異なりますので、必ず通っている施設にご確認ください。

受診の目安・まとめ

次のような場合は、ためらわず受診しましょう。

  • 1週間以上たっても良くならない、あるいは悪化している
  • 赤みや腫れが急速に広がっている
  • 膿や黄色いかさぶた、水ぶくれが見られる
  • 強いかゆみで眠れないほどつらい
  • 乳幼児の場合、またはアトピー性皮膚炎がある場合

あせもは家庭でのケアで対応できることが多い一方、とびひは他人にうつる可能性もあるため、気になる症状があれば自己判断せず、早めにご相談ください。

監修医 足達 麻衣(皮膚科医師) 日本皮膚科学会認定 皮膚科専門医 あだち循環器科内科クリニック(福岡県筑後市)
医師プロフィール